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散る桜残る桜も散る桜 [雑感]

20年前に定年退職したスタッフの御主人が職場にいらっしゃった。
奥様はお元気ですか?と聞いてみた。
すると「今月4日に85歳で亡くなりました。」と。・・・絶句。

高血圧だった彼女は、うちを退職してから脳梗塞で下半身麻痺になり車椅子生活だった。
それが12年前。6年前に寝た切りになったが、御主人が甲斐甲斐しく介護をしていた。
周囲からは老々介護は両方倒れるから施設に入れたら?と言われたが、時々容体が悪化して入院して帰宅すると褥瘡が出来ていて、それが可哀想だからと御主人1人で自宅で食事の世話も下の世話もしていた。
85歳同士の老々介護、寝た切りで6年間とは綺麗ごとでは済まず壮絶だっただろうと思う。
しかし御主人は仏の様に優しい。
「最期は『バイバイ』って手を振って笑って息を引き取ったんですよ。」
妻の介護をやり切ったという清々しい表情で語って下さった。
車椅子だった頃、他のスタッフが様子を見に行った事があった。
そこで彼女は御主人に恐縮するどころか、威張って介護を受けていたと言ってた。
そんな我儘を受け入れる御主人は優し過ぎ。彼女は世界一幸せだったに違いない。

葬儀を終えて、ふと自分の事が後回しだった事に気付き、今日私の職場に来たという訳。
体のあちこちに介護の凄まじさを感じた。この体で気力だけで頑張っていたなんて。
この御主人の最期は誰が寄り添ってくれるんだろう?
伴侶を失って介護を終えた途端に歩けなくなったり認知症になった人を何人も見て来た。
いや、程なく彼女が寂しがって連れて行くような気がしてならない。

散る桜残る桜も散る桜
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