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2つの階段 [雑感]

星新一氏のショートショートは、中学校の時に随分ハマって全巻持っている。これは断捨離で処分しようと思う位に場所を取る。しかし子供達がいつか読むから捨てないでくれと言うので、そのまま持っているが、結構シビアな話が多い。
夢のような都合の良い話に乗って幸せな日々を送っていると、最後にどんでん返しに会うのだ。
世の中良い事だけなんて事は無いし、自分の利益だけを考えたらしっぺ返しに会うのだと言いたげ。

笑ゥせぇるすまんもしかり。
セールスマンの喪黒 福造(もぐろ ふくぞう)が現代人のちょっとした願望をかなえてやるが、約束を破った場合または忠告を聞き入れなかった場合にその代償を負わせる一話完結のオムニバス形式。この作品の本質は単なるブラックジョークではなく、喪黒がオチで発するセリフが示すように、“うまい話には用心せよ”という警鐘的・寓話的な意味合いを兼ねている。また、人間の本質であるいい加減さ、愚かさ、弱さが描かれた物語が多い。
(Wikipediaより引用)

以前タモリ氏がストーリーテラーをしていたTV番組で「世にも奇妙な物語」というのがあった。
もしも分岐点で違う選択をしていたら、どうだったのだろうか?という設定で立ち戻ってもう一つの選択肢のその後も含めて両方見せる話も多かった。結局どっちもどっちなのだが。

物事が思うように行かない時は、分岐点に戻って、あの時にもう一つの選択肢を選んだらどうだったのか?と思う事もあるが、しかし、そこにはジレンマもある。


実家はちょっと変わった造りになっていて、忍者屋敷のようで地下室もある。
小さい頃、言う事を聞かないと怒られて、地下室に閉じ込められた。とても恐かった。
普段は地下に繋がる階段には、落下防止の為に鉄の扉で蓋をしていた。
しかし私も弟も少し大きくなって危なげなくなると、段々開け放つ事が多くなり、出入りが自由に出来た。
地下室はコンクリート打ちっ放しで、夏は涼しかった。
小学生の頃は何もする事が無いと、時々大人に内緒で地下室に入って遊んでいた。

階段を下りた所に大きな鏡があった。

何をして遊んでいたのか、今は思い出せない。
いつの間にか寝てしまった事があった。
気が付くと地上から母が私の名を呼んでいる。
早く出ないと怒られる。

急いで階段の方に行くと、大きな鏡を境に階段が2つ。
寝ぼけながらも慌てていた私は、どっちの階段から下りてきたか思い出せない。
母の声が近付く。

ええい!こっち!


で、今に至る訳。
あの時、違う方の階段を上ったら、違う人生だったのか?
階段が2つある訳無いのだけど、夢か幻か今でも分からない。

どっちの階上からも母の声がした。
母はそれぞれの世界に1人ずつ居たのか?
私が行かなかった方の世界は、私無しでどうなったのか?
鏡に映し出されたもう一人の私が生きているのか?

私はいったい誰?あっちの世界が本物で虚像の自分が生きているのか?
暫く悩んだが、実家を離れて中学校に進んだ時から、この話は忘れていった。


今実家の地下室には鏡が無い様な気がする。
確かめに行って、その鏡が無いのも、何だったんだろうと思うけど、
その鏡がまだあって、そこにもう一人の自分が映ったら・・・。


元ダンと結婚しなかったら、どうだったんだろう。
他の人と結婚していたら? もっと幸せだったんだろうか。


あの階段を上って良かったんだ。
元ダンとは、もう一緒に暮らせないけど、子供達は授かって良かった。
今まで来た道を引き返す事は出来ないけど、この道で良いんだ。
多くを望んではいけない。今のままで充分幸せ。欲張ったらキリがない。

あの2つの階段は、きっと夢の中の話に違いない。



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pn

パラレルワールドですね、地下室は境目だったのかもしれません。
「もし」違う階段を登っていたとしてもゴールは一緒だよ、過程が違うだけ。
今が良ければそれでよし!
by pn (2011-06-29 21:53) 

ルシファー

コメントその1,
星新一のショートショートは流行だったのかな?
私も全部読んだと思う。ほとんど断片的にしか覚えていないけど「午後の恐竜」だけは未だにしっかりと記憶されています。
貴女は何を覚えていますか?

コメントその2,
どんな夫婦間であったとしても、子供を授かったことを否定したら人間として終わりでだと思います。私も子供を産んでくれたことだけは常に感謝しています。

コメントその3,
理性をそのままに、若返ってきましたね。
でも男性!
by ルシファー (2011-06-29 22:21) 

palette

鏡に映った親知らずさんが、そのまま鏡の世界の階段を昇って行って、こちらの世界と同じように幸せに暮らしていますよ^^
鏡の世界の私とお茶してるかな?

その人の幸せのポテンシャルみたいなものって、どの分岐点でどちらを選んでも、あまり変わらないという気がします。だから、その時その時、選んだ道が最良なんです。(と、思うようにしてます^^;)

by palette (2011-06-29 23:19) 

まほ

私も星新一氏は好きでした。
彼と、阿刀田高氏、筒井康隆氏の作品は、ある時期随分読んだので、
なんだかごっちゃになっていて、
「あれ?『冷蔵庫より愛を込めて』は誰だっけ?」なんて悩みます。(阿刀田高氏)
星新一氏、面白かったです。
短編の一つ一つが、ずっしり考えさせられるお話でした。
「さよなら地球さん」という短編集が印象にあります。

地下室の話ですが、親知らずさんの地下室に限らず、
「あの時こうしていたらどうだったろう」と考えることはたくさんあります。
そういう分岐点を、いくつも過ごして来たのが人生ですよね。
皆さんおっしゃっていますが、私も今が最良と思っています♪
かくして、脳天気な私がここに居るワケです(爆)



by まほ (2011-06-30 00:16) 

ルシファー

失礼しました、今朝観たら”女性”になってました。
でも急速に老化現象・・・・
by ルシファー (2011-06-30 05:04) 

HOTCOOL

パラレルワールドへの分岐点っだったのかも。
僕は時空がねじれた空間に同じ自分が違う人生を歩んでいると思ってます。
by HOTCOOL (2011-06-30 07:13) 

mutumin

確かにこの年になるといろんな分岐点があります。
私は、人の話に乗って、騙されてお金をやってしまった失敗。(その人は後に詐欺で刑務所入っています)
その後、反対につい美味しい話に乗ってしまいそうになり、ちょっと立ち止まりやめた事で、助かった事。
そう考えると、最初の騙されたことが勉強になってる?って事かな?と・・・
どちらの心もぞの時の自分の心だったのです。
きっとそれで良かったんですよ。
そう思うようにしてます。
by mutumin (2011-06-30 13:31) 

兎猫

ずっと昔?「扉を開けると別の世界が開く」なんて話を読んで、扉が怖くなり、
別に、「隙間戸の向こうから何かがこちらを・・・」なんて話を読んで、引き戸も怖かったりww
もちろん大きな鏡も怖かったなぁ(TT)
星新一も読んだけど、ブラッドベリに傾倒しました。
そうそう、昨夜はNHKのクイーンの番組みて、親知らずさんの書いた絵を思い出していました(^^)
by 兎猫 (2011-06-30 13:52) 

ChatBleu

その地下室の階段、もう一つを登ったらどうなってしまうのでしょう??
私も、元旦那と結婚しない人生を歩んでいたら、どうなっていたのかな。
だけど、あの失敗があったからこそ、今の生活があるわけで、
イヤなこともひっくるめて、過去はすべて all ok なのです。
by ChatBleu (2011-06-30 23:53) 

フサヲ

星新一さんは、国語の教科書で習ったような、
遠い記憶がございます・・・(。 ̄  ̄)

> 私はいったい誰?
大学を辞める前くらいに、その手の本をよく読みました。
でも、自分で考える(悩む)ことは無かったので、
問いが深まることはありませんでした(涙)
by フサヲ (2011-06-30 23:59) 

親知らず

>pnさん
小さい頃の記憶なので、夢か幻か現実か分からないのです。
今更戻れないので、こっちが良かったと思う事にしています。
これからをどう生きるかが大事ですよね。

>ルシファーさん
星新一のショートショートは、クラスメイトに勧められて
読み始めましたが、ここのコメントを拝見すると、多くの人に
読まれていたようですね。
あの頃はTVゲームも無かったし、娯楽的な物も少なかったし。
この後の記事にも書きましたが、私はショートショートよりも
「人民は弱し、官吏は強し」「明治・父・アメリカ」が印象に
残っています。
今までの人生、あそこまで戻ってと思う事も無きにしもあらずですが
子供は絶対なので、今の人生に納得する所です。
今日の通信簿は25歳だよ~ん!(笑)

>paletteさん
あ、私もpaletteさんがおっしゃるような事を想像しました。
鏡の世界のpaletteさんとも、きっと気が合ってお茶してると思います。
「その人の幸せのポテンシャル」良い言葉ですねぇ。
ポテンシャルを高めに維持出来るようにしたいものです。

>まほさん
星新一氏から、悪ノリの筒井康隆氏、小松左京氏、平井?氏
色々読みあさりました。
筒井康隆氏の「農協月へ行く」「狂気の沙汰も金次第」
「吉里吉里人」は独特の筒井ワールドでした。
筆を折っちゃったのが惜しいですね。
分岐点は、運命的なものも、自分で作っちゃった分岐点も
今の選択肢がベストと思う事にしています。
あらゆる可能性を考えたら、やるせなくなりますから。

>HOTCOOLさん
色んな人生を、違う自分が歩んでいる。
そういう考え方も面白いですね。
そう思えば後悔も無いかも知れませんね。

>mutuminさん
長く生きると色んな事が有りますよね。
失敗を教訓とするか、人を恨むだけか、自分次第ですね。
騙すよりも騙された方が、天国に行けますよ。

>兎猫さん
えへへ。クイーンの番組見てました。(^^;)ゞ
私も、夜中に合わせ鏡をすると…なんて話は怖かったです。
恐いと思う事は年齢で違ってくるような気がします。
今鏡はさほど恐くなくなりました。

>ChatBleuさん
さぁ?どうなっていたでしょうね?
結婚はしてもしなくても後悔すると言うから、良かったのでは?

>フサヲさん
国語の教科書?あらら~時代は変わったのね。
私はいったい誰?は、永遠のテーマかも知れません。
死ぬ時まで考えるかも…。

>コトキャンさん、goingさん
nice! ありがとうございます。
by 親知らず (2011-07-10 01:04) 

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