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心構え [雑感]

亡父は人工透析を20年以上やっていたが、最後は人工透析自体が苦しくて行きたくないと駄々をこねて病院への送迎バスに乗らなかった。
人工透析は必ず同じ時間に同じ患者が並んで処置を受けている。来ないという事は亡くなったという意味になる。自分より長く人工透析している人から順番に亡くなっていくので、自分の順番が見えて来て死神の気配を感じると言っていた。
「苦しい思いをするくらいなら死にたい。」と言って病院の看護師を困らせていた。
人工透析を止めたら1ヶ月位で死ねると思っていたらしいが、そう簡単には死なない。
次に断食をして即身仏にでもなろうと思ったらしい。しかし同居の家族は食事を作る。
母には意地を張って食べなかったが、息子(私の弟)がコーヒーを煎れて勧めたら飲んだ。
そのコーヒーが余程美味しかったらしく、それから堰を切ったように飲み食いした。
しかし人工透析をしていなかったので、断食をしている間はまだしも食べ始めたら尿毒症が重症化して救急搬送になり、最後は苦しくモルヒネを投与して貰って意識朦朧の状態で他界した。
生前、父は大学時代の親しい友人が僧侶をしているもあって「死ぬのが怖いが、どうしたら安らかに死ねるか?」と聞いていたそうだ。
その友人は「お経を唱えなさい。気持ちが楽になれます。」と言っていたらしい。

父の他界後に母が私と同居した頃、母は図書館から沢山の本を借りて来て読みふけった。
やはりどう死を迎えるかの答えを探していたようだった。
結局母は高齢者施設に入所して今は楽しく暮らしているが、三度の食事で食堂に降りて来る事が安否確認になっている。
あれ?○○さん来てないね?体調悪いのかな?と思った1週間後位で部屋の名札が無くなる。
毎月2人~3人程のペースで無くなる(亡くなる)ので、段々自分の番が近いなと思う。
「死ぬのは怖くないけど、痛いのは怖い。延命処置はしないで良いから痛み止めはして。」
・・・とLINEが来た。
そんなこと言わないで長生きして!なんて事を言って欲しい訳ではない事は承知。
感情を挟まずに「わかりました。」とだけ返事した。

我儘放題の父はあれこれ言いたい放題だったが、それでも満たされない何かがあったのかも。
感情に任せて誰かに怒ったり冷たく当たったりしたら、結局自分自身が嫌な気持ちになる。
(某国のトップはどうかな?イエスマンに囲まれても本当の安心は得られない。)
人に優しくすると自分も穏やかな気持ちになる。
家族や友人を愛して、愛されていると感じる事で自己肯定感が生まれて安心出来る
今の母は施設の中で親しい友人が出来て、優しい気持ちで過ごしているのだろう。
それが「死ぬのは怖くない。」という境地になったのではないかと思った。

誰かの手を借りながらこの世に生まれ、この世を去る時も最後は誰かの手を煩わせる。
せめて人の役に立てるうちは、精一杯頑張ろうと思う。
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paulo

私の年齢になると誰にも起こることで身につまされます。
違うのは、キリスト教では自殺は禁止されているので、自殺すると教会ではミサをしてくれません。
話題の映画『プラン75』はまさに年寄りの生き方を考えさせられます。
by paulo (2022-09-17 03:45) 

HOTCOOL

この歳になると死を意識しますね。
人間は死を知っている動物ってよく言った言葉だわ。
by HOTCOOL (2022-09-17 04:16) 

pn

死神は常に隣にいるものです。
by pn (2022-09-17 06:12) 

mutumin

私もお母さんと同じ境地です。亡くなった友達と会えるので死ぬのは怖くないけど、いたいのが怖いです。


by mutumin (2022-09-17 06:51) 

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