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戸棚のミイラ [雑感]

090620_1336.jpg今日は精神科医の香山リカ氏の講演を聞いた。「よい子」は問題が無いのか?というテーマ。
挨拶代わりの枕の話は、生誕100周年の太宰治の話でした。
太宰治は自尊心が高く、人を見下したような事を書くかと思えば、自分は価値が無く人間失格だと、必要以上に落ち込む部分も持ち合わせている。しかし、人間とは多かれ少なかれそんなもの。得意になったり失望したり。
端から見て頭も良く、経済的にも何不自由無く暮らしている様に見えても、本人は不幸だったり。
どんな幸せそうに見える家庭でも、戸棚を開ければ、ミイラの一つも隠してあると。(人には言えない闇の部分という物の例えですよ!)
何が幸せで、何が不幸なのかはひとそれぞれ。そして、必要でない人間なんて一人もいないと。

親の言いなりになって、親の期待に応えようと「よい子」を演じている子は、いつか壊れるし反抗期が無いのは自我が充分形成されていなくて問題だと。また、「よい子」から逸脱出来なくて冒険が出来ない。
昔は今みたいに情報が氾濫していないから、子供はちょっと褒められると有頂天になって、良い気分になる。そしてやる気を出す。しかし、インターネットやテレビで何でも分かっちゃう今は、学校で1番の成績を取っても全国レベルで何千番と出ちゃうと、嬉しくなくなる。褒められても上には上が居る事を知っているから「井の中の蛙」になれない。子供は小さい時は褒められて育つ。小さな成功体験を積み重ねて自信を持つ。それが今は褒めても「いや、まだまだです。」とか、「たまたまです。実力じゃありません。」などと自信を持てない。

香山氏はエリートコースを歩いて来た人だと思っていました。
実際彼女は、学芸大附属高校から東京医大に入学している。他人から見たらエリートでしょう。
しかし、国立大学に合格出来ずに浪人します。翌年も国公立大に挑戦しますが入れず。お母様が「女は資格が無いと就職出来ないから、資格の取れる私大を受験しなさい。」と言うので、仕方無く受験して受かったのが東京医大だったと。そして、仕方無く6年間通学。さて、卒業したら仕送りが止まって自分で働かなくちゃいけない。でも、外科も内科も向いていない気がする。ここでも、仕方無く心療内科に残る。ずっと消去法的な選択。

しかし働くうちに、患者さんに「ありがとうございました。」と言われたり、看護婦さんに「お疲れ様でした。」なんてねぎらわれたりすると、嬉しくなった。いままで、大学は親が行けって言うから行ってやった的な感じ。私立医大なんて学費が半端じゃないから、親にしてみれば大学に行かせてやった、でしょうけど、本人は行ってやったと思っていた。感謝の気持ちも無ければ、充実感も無い。しかし、働いてみたら、感謝されねぎらわれた。結構嬉しくなって、今まで続いていると。入り口では消極的に選んだけど、今まで辞めていないという事は、案外合っているのかもと。

高校の同級生の話では、もっと良く分からない理由で大学に入った人も居たと言う。
共通一次での得点が奮わず、希望の大学に届かない生徒が居ました。
高校の進路指導の先生は事もあろうに、得点順にどこの大学が入れそうかという表を取り出し、大学名を隠し、得点の所を指差し、隠していた大学名を開け、「お前は○○大学の教育学部に行け!」と言ったそうな。嘘みたい。
言われた生徒も最初はキョトンとしていた。学校の先生なんて考えた事もない。でも、そこへ入学。今では立派な小学校の先生になり、天職だと思っているとまで言うそうな。

人生に理想を求めては自分が苦しくなる。見切り発車でやってみて、続くならそれは合っているという事。
自己実現が命題ではない。どんなに学力があっても、悩みはある。
必要でない人は居ない。何かやっていれば、最後にピッタリはまるジグソーパズルのように居場所が必ず見付かると。
どんなに考えても結論が出ない事もある。霊感とは言わないが、直感、あるいは無意識下の自分が何となく決めた事に流されてみるのも良いかも。
天職を見付ける事に執着して、終わりのない旅に出る必要なんか無い。これじゃいけない!なんて真面目すぎる必要もない。いつか最後にはちゃんとハマるべきピースになると。



・・・うまく香山氏の講演を書けたかどうか。しかし、泣きながら聞く親御さんが、1人や2人ではありませんでした。やはり家の戸棚にはミイラがあるのかも。



重い話だけでも何なので、軽い話も。
夕方から上の子の洋服買いに付き合った。(というか、スポンサーだな。)その後アフタヌーンティーでお茶。女同士のお茶はケーキ付き♪ 手前のプリンとアップルパイは熱々だった。ハーフサイズのケーキセットとは言え、お腹一杯で、夕食が入らなかった。(それじゃ駄目じゃん!)話は軽いが、お腹は重い…。
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タグ:香山リカ氏
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くろすけ

話はズレてしまいますが、、
先日利用者さんと話してたのですが、、
志の高い医者が減った気がするねと。。
どうしても、医者になるには、お金がかかりすぎて、
ボンクラな2世さん(失礼っ)が、時間とお金を使ってなってて、、
楽な科、楽な科に流れてるような。。
優秀でも、経済状況が許されないので、断念してる人材がいるのでは?と
奨学金で通えるのなら、まだマシで、、
家に収入を入れるために、即働かないとダメな人とかね。。
医者に限らず、色んな選択肢を、もらえてるってだけで、幸せかもね。。
親の期待に関係なく、自分の道を挫折しながらも、(挫折した方が他人に優しくなれる気も)、歩いていってほしいですね。。

by くろすけ (2009-06-21 00:23) 

ChatBleu

私、昔から、自分の意思で選択した道ではうまく行かず、無理矢理押し付けられた道では結果的に成功することが多いです。
だけど、進路はやっぱり自分でやりたいこと、なりたいもので決めさせて欲しいし決めて欲しいですねぇ。
自信を持たせる、胃の中の蛙でいさせるってのは、ある程度の年齢までは必要なのかもしれない。だけど、そのまま大人になってしまうと、ちょっと困った人ができてしまうんですよ。。。人間どこかで挫折を味わわないと、どうもいけすかないヤツが出来上がっているような気がしてなりません。偏見かなぁ。
by ChatBleu (2009-06-21 00:49) 

まほ

テレビに出てくる香山氏はあまり好きではないのですが、良いお話でしたね。
無理矢理良い子になったり、エリート目指さなくても良いということ、
順風満帆などなかなか無いということ、
流れにまかせても、どうにか形になることもあるということ。。。
分かります・・・身につまされます。
もし私も拝聴したら、泣いていた口です。
人間、人生いろいろですよねぇ!

「話は軽いが、お腹は重い」って、あーた!(爆)
by まほ (2009-06-21 02:58) 

Emiemon

すごいです、感動してしまいました。
こんなでっかく大人になっていても
まだ居場所はないと思える。
でもきっといつか自分の居場所が見つかればいいなと
思ってがんばります!

ケーキおいしそうですね~(^^)
by Emiemon (2009-06-21 11:48) 

クロネコ

話がずれてしまうんですけど
運動会でかけっこをレベル別にしたりするの、いつから始まったんですかね…?
勉強はできないけど、かけっこだとキラッと輝く瞬間がある子、
逆に勉強できるけど、かけっこじゃあの子にかなわないんだなと挫折を知る子。子供のころから経験させとかないといけないと思うんですが?
情報はあふれているから、大人っぽい口はきくけど、精神的にはモロい子が多いような気がしてちょっと心配です(*_*)

by クロネコ (2009-06-21 12:11) 

manekiuri

思うことが多すぎて・・・
あああ・・・
(押し逃げおごめんなさい。^^;)
by manekiuri (2009-06-21 14:44) 

パトラ

う~ん、言葉にどしたらいいかな・・・
まぁ、複雑~なものがあります。
私の父は厳しかったです。
反抗もせずに、敷かれた型通りに生きてきたなと思います。
まぁ、敷かれた方がハチャメチャであったりするけれど(笑)
でも、それではダメと、娘には自分で考えて
冒険しろと言ってます。
ん、結局私何言いいたいのか・・・おごめんなさい。
短文では、まとまりませんw

アフターヌーンティのケーキ美味しそうです。
私は下のスコーンがお気に入りです^^

by パトラ (2009-06-21 16:50) 

よっちゃん

内容をこんなに再現できるなんてすごい・・・(そこ?)
子育てはだいたい取り返しつかないところまできちゃってるので耳がいててて・・・となる事もありそうです。
お話に感動して泣いている人がいたんですね。 そんな素直な気持ち最近自分にあるかなと思ってしまいました。テレビのいい話でも全然こないし・・・^^; いけないなあ。
アップルパイ大好きです♪
by よっちゃん (2009-06-21 22:31) 

親知らず

>くろすけさん
私が学生の頃から、「え~?あいつが医者になるの?」という人は居ました。
志が高い低いは、本人の性格もあるでしょうけど、病院自体の体質
という事もあります。
某都立病院では、ベースアップの為に診療を半日拒否してストライキに
入る人達も居ました。気持ちも分からないではないけど
あなた達、9時~5時で、有給休暇も取って何言ってるの?と思いました。
しかし、香山氏のように、最初は後ろ向きな医者も徐々に変わる事も
有り得ます。後ろ向きな医者だと患者さんだけでなく、医者も不幸ですね。

>ChatBleuさん
うふふ。誰の事を言いたいのか見当が付きます。(笑)
偏見ではなく、実際に居ると思います。何様だよ?っていう鼻持ちならない人。
ChatBleuさんも、上手く付き合ってストレスを貯め込まない様にね。

>まほさん
香山氏はマスコミにも露出が多く、色んな印象を持たれていると思います。
実際私のテニス仲間にも精神科医が居ますが、彼女の事を悪く言います。
私は嫌な感じの人でも学べる所はあると思い、実際自分の目で見るまでは
イメージを決めないでおきます。
結果的にやっぱり噂通り嫌なヤツ!という事もありますが、
嫌なヤツでも、仕事上付き合わなくちゃいけなかったりします。
その時に「こいつ嫌だな~。」と思って接していると、自分から嫌なオーラが
出て、相手にも分かっちゃう様な気がします。
そうすると、余計にお互い嫌いの度合いが強くなっちゃって自分も苦しいので
なるべく嫌いと思わない様に、嫌いなオーラを出さない様にしているつもり。
しかし職場の仲間に言わせると、嫌いオーラ全開だったと笑われたり。
香山氏の話は、良いお話でした。御自身が(周囲の目はともかく)
流されて生きて来た事に自己嫌悪を感じていた経験があるからこそでしょう。
テレビのバラエティ番組でよく見かける女医の西川氏は、服や言動に
品が無く、どうかなぁ?と思いますが、会えば気さくで良い人なのかも。
香山氏も派手なドピンクと紫の大きな花柄のチュニックに黒いスパッツで
なんで、この服?と思いました。
御存知の様に、聞いている人達はスーツ姿の先生達と黒っぽいスーツの
父兄でしたから、「あれ?」と気まずい思いをしたかも知れませんがね。

>Emiemonさん
自分の居場所はいつか見つかります。
それまで流されていても良いんだよ、というお話でした。
アフタヌーンティーのケーキ美味しかったですよ。

>クロネコさん
私もかけっこ嫌いでした。小学生の頃は身体が小さいと、体育は苦手。
挫折感一杯で、泣けてきました。
その点最近の運動会や体育祭は、単純な徒競走と障害物競走と
上手く分けていますね。誰が分けたか?というよりも、クラス対抗なので
必然的に生徒側からレベル別に分けてしまいますね。
レベル別に分かれた時点で、あまり傷付かないけど「自分は遅いから。」と
プチ・コンプレックスは持ちますね。

>manekiuriさん
忙しい時は、読み逃げ、押し逃げで良いですよ。お互い様です。
体調に気を付けて、無理しないで下さいね。

>パトラさん
私の父も必要以上に厳しい人でした。昔の父親って皆そうなのかな。
優しいお父さんって憧れでした。
私も子供には怒るだけではいけないと思いますが、その匙加減が難しいです。
スアフタヌーンティーのスコーン、美味しいですよね。
飽きの来ない味です。

>よっちゃんさん
最初はただ聞いていたのですが、途中で良いお話しなのでメモを
取りたくなりましたが、ボールペンは持っていたのに、紙が無い。
仕方がないので、街頭で配るポケットティッシュに入っていた
お店の宣伝の紙を抜いて裏の白い所にメモりました。
要点だけ12行書いたメモを頼りに思い出しながら書きました。
90分の講演全部は書き切れていないと思います。
熱々のアップルパイ美味しいです♪

>itsumoaozoraさん、お茶屋さん
nice! ありがとうございます。
by 親知らず (2009-06-22 08:52) 

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