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セキネさん [雑感]

家の近所にやたら咳をするお爺ちゃんが住んでいる。
その咳は、むせたとか風邪とか喘息とかの咳ではなく、何か思い通りにならないと言葉ではなく無理矢理大きな咳をして怒りを表しているように聞こえる。
毎日の事なので「セキネさん」と呼んでいる。
「今日はセキネさん、随分怒っているなー。」なんて子供達と話している。
セキネさんの声がすぐに収まるとホッとする。毎日穏やかに暮らせると良いなぁ。

学生時代に、よく叔母の家に御飯を食べに行った。
その叔母の家の隣の家で鳥を飼っていた。姿を見た事が無かったのでインコかオウムか分からないが、人の口癖を真似て良く喋る鳥だった。
その鳥はお喋りに混じって飼い主のお爺ちゃんの喘息発作の咳と喘鳴まで真似をする。
本人の喘鳴だけでも聞いてて気の毒なのに、鳥まで喘息発作を忠実に再現するのが聞いてて更に辛い。
いつしかお爺ちゃんが亡くなって、それでも鳥は咳を真似していた。
その鳥も居なくなってしまったが、今でも叔母と「咳を真似していた鳥」と話題になる。
あの鳥、セキネインコだったんだな。
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